2.43清陰高校男子バレーボール部1の感想やあらすじ!アニメ化期待の壁井ユカコ作品

アニメやドラマ・映画など昨今では数多くの作品が制作されています。それらは、漫画や小説などを原作とするものが多い状況です。

そのため、プロデューサー等の映像関係者は次にヒットしそうな、映像化できる作品を常に求めています。

今回は、アニメ化が期待される作品のひとつ、『2.43 清陰高校男子バレーボール部①』をご紹介します。あらすじや感想などをまとめてみました。

『2.43 清陰高校男子バレーボール部 ①』のあらすじは?

文庫本版表紙

 

『2.43 清陰高校男子バレーボール部①』は、イラスト:山川あいじ、2013年7月に集英社から発行された小説です。

文庫版は2015年3月に発行されており、単行本版を2冊に分冊したものとなっています。かつ、加筆修正されています。

作者:壁井ユカコ

壁井ユカコさんは、もともとライトノベル作家として活躍されていました。思春期の頃の不安定な感情を表現するのが上手な作家という印象です。

第9回電撃小説大賞〈大賞〉受賞

2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー

あらすじ

今回は、文庫版の第1巻よりご紹介。

収録作品

  • プロローグ 冷たい指
  • 第一話 少年ユニチカ
  • 第二話 ドラキュラといばら姫
  • 第三話 犬の目線とキリンの目線

福井県紋代町に住む中学二年生の黒羽祐仁(くろば ゆに)は、そわそわしていた。幼い頃一緒に遊んでいたチカがこの街に帰って来たのだ。それはクラスメイト達も同様らしく、娯楽が少ないこの町において転校生の話は格好の題材であり、その登場を心待ちにしていた。

しかし、チカこと灰島公誓(はいじま きみちか)は、黒羽の記憶にあるチカとは全く違う性格になってしまっていた。

話掛けるなオーラを存分に出している灰島にクラスメイト達は次第に寄り付かなくなっていく。

ある時、灰島がバレーボールの練習をしている姿を黒羽は目にする。実は黒羽はバレーボール部員なのだが、全然活動していない幽霊部員だった。

灰島の練習姿に並々ならぬものを感じ取った黒羽。いつしか黒羽も他の幽霊部員も灰島に引っ張られるかのように練習をするようになっていく。

弱小バレーボール部の挑戦が幕をあける。

 

『2.43 清陰高校男子バレーボール部 ①』の感想は?

「おまえ、上手くなるよ。ちゃんとやればあっという間に」

青春バレーボール群像劇。

黒羽と灰島を中心に、バレーボール部に関連した登場人物たちそれぞれの心のうちを描く。

舞台が福井県となっているので、方言が頻繁に出てくる(灰島だけ標準語だが)。筆者自身も北陸出身のため、似たところがあるその方言を懐かしく思ったりする。

 

灰島のこと

もともと他人と上手くやれない灰島が東京での出来事をきっかけに、ますます心を閉ざしてしまう。

他人とのコミュニケーションの取り方が分からず、ただ突っぱねるやり方しかできない灰島。分からなくて困っているというよりも、なんでこんなことも分からないんだと上から目線な感じなのだ。

そんな彼でも、顔を輝かせる瞬間があった。

バレーボールだ。

バレーボールのこととなると、普段よりも饒舌になるのだ。

灰島はバレーボールに関しては天才的なプレーを見せる。天才であるがゆえに、尊大な性格とも相まって時に軋轢を生んでしまうこともある。不器用な奴なのだ。

 

黒羽のこと

黒羽家は代々町の地主で、黒羽はいわば本家のボンボンだ。だからだろうか、彼自身にどこか甘やかされて育った感がある。

黒羽は恵まれた身長と高い身体能力を持っているものの、メンタルに軟弱な部分がある。その場の雰囲気にのまれたり、周囲の空気に流されたりしがちだ。

そのため、試合で本来の実力を発揮できなくなったことをきっかけに、結果灰島の信頼を裏切ってしまう。灰島自身にも悪い所はあったにせよ、致し方なくやったことであり、これは黒羽が圧倒的に悪いと言える。

 

先輩たちのこと

黒羽と灰島は県立七符清陰高校に進学する。第二話、第三話はその高校の先輩バレーボール部員たちの視点から語られる。

第二話は黒羽たちより一学年上の女子バレー部員、末森荊(いばら)の目線から、第三話は二学年上の男子バレー部主将、小田伸一郎の目線から。

末森は女子バレー部のなかでも背が高い方であり、性格的にもサバサバしている。故に、女子生徒から持てるタイプ。末森自身はバレーボールのためなら女性性を棄ててでも、男性的でありたいと思っている。

一方、小田はポジションはレフトではあるが、身長は163cmしかない。入学当初はぐんぐん伸びるだろうと期待に胸を膨らませていたが、ふたを開けてみると予想とは違ってしまった。

 

憧れと嫉妬

末森と小田二人に共通するのは、バレーボールに対する強い憧れだ。本人はこうありたいと思っていても、悲しいかな現実は非情だ。それは、己の努力ではどうすることもできないものだからだ。

いくら男性的でありたいと思っても、本物の男子には体力面・身体能力面で追い抜かされる日がいつかはやって来る。日に日に、より成熟した女性的な体つきになっていくのを本人の意思で止めようがない。

背丈についても同じだ。低身長であってもリベロではないポジションで活躍している選手はたくさんいる。だけど、己の能力ではそれが叶わないことを小田は自覚している。

だから二人とも、自分にはないものを持っている奴に強烈な嫉妬心を覚えるのだ。特に小田は、それを活かそうともしないのだったら自分にくれよ!とまで思っている。

彼らの心情を思えば、胸が苦しくなる。

 

彼らの成長

傍から見ていたら早く謝ればいいのに、素直になればいいのにとか思っているけど、こと自分のことになると途端に見えなくなってしまう。灰島たち1年組も、小田たち3年組も。

先輩二人だけでなく、黒羽も灰島も自分の感情に向き合わざる得ない時が来る。目をそらしていても絶対にやって来る。末森と小田は嫉妬の対象に、黒羽と灰島はくすぶり続けている感情に。

そことどう折り合いをつけていくか、それが彼らを新たなステージへと導く

 

読者のコメント

まとめ

今回は、アニメ化が期待される小説『2.43 清陰高校男子バレーボール部①』をご紹介しました。

アニメ『ハイキュー!!』、『黒子のバスケ』、『風が強く吹いている』の次のスポーツアニメはこれが来ると密かに思っています。全部制作会社がProduction.I.Gさんなので、本作品もここで作ってほしいくらいですね。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。